初の 「価格.com保険アワード2013」
(株)カカクコムは、同社が運営する総合保険比較サイト「価格.com保険」で、2013年の1年間を通じてユーザーから最も申込件数が多かった保険商品を、販売チャネル別に選出する「価格.com保険アワード2013」を発表した。これまで月間の資料請求件数は公表していたが、実際の申込数によるランキングの発表は初めてだ。保険アワード実施の狙いと結果の分析、今後の方針などについて、青木克哲氏(カカクコム金融本部金融サービス部保険チーム・マネージャー)、渡邉国宏氏(カカクコム・インシュアランス営業企画部長兼カスタマーサポート室長)、藤田晃治氏(カカクコム・インシュアランスのセールスマーケティング部)の3人に話を聞いた。
(聞き手:高見和也)
――保険アワード実施の経緯と理由を教えて下さい。
青木 保険会社を対象としたランキングやアワードを発表している会社はほかにもありますが、その多くが数量ベースに基づいた定量的な評価ではなく、顧客へのアンケートやFP(ファイナンシャルプランナー)の投票など定性的な評価に基づいている印象がありました。こうした中、カカクコムとしては、100%子会社の保険代理店であるカカクコム・インシュアランスと連携のもと、実際の加入者数や申込者数に即した形の人気ランキングを作りたいと思ったのがきっかけです。
――こうした申込件数に基づくランキング発表は初めてですね?
青木 はい、カカクコム・インシュアランスの加入データに基づくランキングの発表としては初めてとなります。これまで、保険の資料請求数に基づく月間ランキングは発表していました。しかし、ネット契約だと資料請求という行為が発生しないこともあります。さらに、保険会社が期間限定の資料請求キャンペーンなどを実施することで、月間の件数が容易に変動し、商品そのものに対する真の人気が掴みづらいという課題を感じていました。
――ランキングをインターネット、通販、対面と3つの販売チャネルごとに分けていますね。これはなぜでしょうか。
青木 カカクコム・インシュアランスの販売チャネルは、ネット・通販・対面の3つあり、複数のチャネルを加入経路に持つ保険会社と単一チャネルの会社とで、商品の申込件数を単純に比較することはできません。販売チャネルが多いほど、当然ながらトータルの申込件数は多くなる傾向にあるわけです。より公平で正確な人気ランキングにするため、販売チャネルごとのランキングを発表することにしたのです。
「保険料が安いだけでは1位は取れない」
――ランキングから見えてきたことはどんなことでしょうか。まず生命保険商品ではいかがでしょうか。
藤田 まず、「通販」に関しては、テレビCMなどを積極的に展開しており、知名度が高い生保会社の商品が上位にランクインされている印象です。「ネット」では、シンプルやコストパフォーマンスが高い商品が好まれる傾向にあるようです。一方、「対面」では、コンサルタントの説明を介してお客さまニーズにきめ細かく対応出来るユーザビリティの高い商品の人気が高くなっています。 商品ジャンル別では、生命保険(死亡保険)に関しては、シンプルな設計で消費者にも理解が容易な定期保険の人気が高い傾向にあります。医療保険では、生活習慣病や三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)の際の入院保障を充実させた商品が支持を集めています。がん保険では、がんと診断されれば給付金を受け取れる「診断給付金(一時金)」がある商品のニーズがとても高くなっています。
――損害保険の分野はどうでしょうか。
渡邉 「火災保険」の部では、戸建部門とマンション部門ともに、ランキング1位になった商品の保険料は最安値ではありません。にもかかわらず、最も高い支持を集めたのは、お客さまのニーズに合わせた柔軟なプラン設計が可能だったことが挙げられると思います。「海外旅行保険」「バイク保険」についても、最上位の会社の保険料が最も安いわけではなく、会社の知名度・ブランド力や事故の際の対応力など〝プラスα〟の要素が加わって初めて上位にランクインすることが可能になります。 保険会社の方からよく、「価格.comでは保険料が最も安いところが一番になるんでしょ?」と聞かれますが、決してそれが最重要指標ではありません。保険料が安くても、商品性に何か優れた特徴がないと1位にはなれないからです。今回のアワードの結果から、そのことが良く分かりました。
今年度から、月間の〝売れ筋〟ランキングを発表
――アワードでは商品ジャンル別・チャネル別にランキング1位の保険会社だけを発表しています。今後、より積極的に申込件数ランキングを公表していく考えはありませんか?
青木 実は今年度から毎月、申込件数のランキングを発表していく予定です(*)。これまでは資料請求件数によるランキングを毎月発表していましたが、申込件数をベースとした順位を開示することで、保険商品の魅力や募集ツールのわかりやすさが向上する効果が期待されます。 保険の資料請求をした消費者に「申し込み」をしてもらうためには、商品が魅力的であることはもちろん、パンフレットや申込書などの帳票類も見やすくてわかりやすくないといけません。商品の特徴を深く理解してもらうことが申込率のアップにつながるからです。
*4月17日より「価格.com保険」で「売れ筋ランキング」(申込件数ランキング)を公表している。以下URLは生命保険ランキング(リンクページの中央付近) http://hoken.kakaku.com/insurance/gla/
――申込件数順位の開示は、消費者にとってメリットが大きいようですね。ところで、インターネット契約の場合は、保険各社のウェブサイトを通じての申し込みですね?代理店として、申込件数の把握は難しくないですか。
青木 現在、当社の比較保険サイト「価格.com保険」でネット契約ができる商品は多くあります。ただ、ネット経由の場合は、加入の〝入口〟は当社サイトでも、最終的な申し込みについては保険各社のウェブサイト上で行う仕組みです。ほとんどの保険会社から申込件数を報告していただいていますが、中には情報の開示をしていただけない会社があります。 申込件数のランキングを公表することで、こうした会社の情報開示が進むのではないかと期待しています。また、申込件数が分かれば、当社からの送客件数に対する申込率なども分かります。もし、申込率が他社よりも低かった場合は「ホームページのわかりやすさを追求すると良いのではないでしょうか?」など、当社から保険各社にアドバイスさせていただくことも可能になります。
――最後に、今後の展望をお聞かせ下さい。
藤田 お客さまの加入データをもとに、年代や家族構成など属性別の傾向を分析していきたいと考えています。消費者にとって、保険は手に取ることができない商品のため選択が難しく、自分と似た家族構成や年収、年代の人が選んだ商品を、保険選びの参考にする傾向が強いように思います。 消費者が保険を選択する際のベンチマークになるような情報を今後積極的に開示していくことを検討しています。一方、保険会社に対しても、当社からさまざま情報を提供・開示して、新商品開発などに役立ててもらうなど、消費者と保険会社双方のメリットを追求していきます。
「ユーザーが保険を勧め合う仕組みをサイト上で実現したい」
青木 最近の保険選びの傾向としては、知人に勧められたり、口コミを参考にしたりするケースが多いように思います。その仕組みをWeb上で実現したいと思っています。たとえば「価格.com」の「家電」のカテゴリーなどでは、口コミや商品レビューなどを消費者が商品選びの参考にしています。 サイトを活用するユーザー同士が商品を勧め合う仕組み作りは、カカクコムが得意とするところであり、保険選びでも当社の強みを発揮していきます。
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