チューリッヒグループ、「コールセンター」部門で高い在宅勤務率を実現

チューリッヒグループとして日本で事業展開する、チューリッヒ保険(損害保険会社)とチューリッヒ生命(生命保険会社)は、コールセンター部門での高い在宅勤務率を実現している。4月末時点では、チューリッヒ保険で約95%の人員が、チューリッヒ生命では約70%の人員が在宅勤務でコールセンター業務などを行っている。

新型コロナウイルスの拡大で企業には可能な限りテレワークが求められている。特にコールセンター部門はいわゆる「3密」になりやすく、ひとたび感染者が発生するとクラスター化しかねない。

ただし、個人情報保護やシステムなどの関係でコールセンターを在宅で運営するハードルは非常に高く、多くのセンターは勤務状況を改善できずにいる。こうした中、チューリッヒグループはコロナ対応下で4月上旬の緊急事態宣言発令を受けて、多くのスタッフの在宅勤務化を実現している。

2010年代初めからBCPとして在宅勤務に着手、「仮想デスクトップ技術」採用

チューリッヒ保険は国内ではダイレクト系損保として非対面での事業展開をしている。自動車保険販売が中心であり、保険の引き受けから保険金支払い業務に至るまで、コールセンターが事業運営の中核になっている。東京本社と大阪本社に加えてその他のオフィスのコールセンター部門の人員は現在約500人おり、2010年代初頭からBCP〈事業継続計画)の一環として在宅勤務化に向けて取り組んできた。まずは本社管理部門の一部や保険金支払い業務の在宅化を先行実施し、その取り組みの成果を踏まえて、全部門への展開を図ってきた。

コールセンター(カスタマーケアセンター)では、2013年より構想を開始し、近年では2019年の台風15号および19号の発生時にプロジェクトチームが中心となって在宅勤務を実践し、その後も検証を重ねてきたという。システムや機器の導入などのハード面の環境整備に加えて、電話で顧客への対応を行うカスタマーケアスタッフ(オペレーター)への計画的な研修実施などソフト面での態勢整備を進めてきた。

システム環境では、2012年から「仮想デスクトップ技術」を導入した。これは、コンピューターのOSやアプリケーションがサーバー上で集約管理され、オペレーターが操作するアプリや顧客情報はすべてサーバー上で稼働する技術だ。データは画像として映し出されるので、オペレーターが使用する端末には一切保存されない仕組みになっている。

また、在宅勤務中の電話は、チューリッヒのPBX(電話交換機)が起点となり、オペレーターのスマホと顧客の海鮮をつないで電話対応している。電話を受ける際は、チューリッヒが契約するクラウド上のPBXで受電し、そのPBXが発信元になり在宅勤務中のオペレーターにスマホに着信する仕組みだ。そのため、スマホに顧客の電話番号が表示されたり、履歴が残ることは一切ないという。

さらに、オペレーターから顧客に電話する際も、チューリッヒのフリーダイヤル番号が通知され、オペレーターのスマホ番号が表示されることもない。顧客との音声データはすべて暗号化されて、通話内容は通常のオフィスでの業務時と同様に録音もされている。

新型コロナウイルス対応で2月から在宅勤務へ本格以降

チューリッヒ保険では、緊急事態宣言発令に先立つ2月より、新型コロナウイルス感染症に起因するリスク対策の一環として、在宅勤務を本格化させた。コールセンターでは、必要機器の手配に見通しがついた2月下旬から、在宅勤務移行に向けた事前研修を開始。研修では、実際の執務をイメージできるように、オフィス内に模擬的に在宅勤務環境を構築し、機器のセットアップなども含めて各オペレーターのレベルにあわせた研修を行った。

また、パソコン、スマートフォン、ヘッドセット、WiFiを必須備品として希望者へ貸与し、周辺備品(モニター、机、椅子など)の購入についても一律金銭補助を行うことで、より快適な執務環境の整備を進められるようにした。現在、オペレーターと、管理者であるスーパーバイザーのコミュニケーションにはチャット機能を活用し、通常時と変わらない顧客対応とサービスの提供に努めている。

チューリッヒ保険の西浦正親 日本における代表者が語る「在宅勤務以降への取り組み」(動画)

チューリッヒ生命も在宅勤務に移行

一方、対面の代理店チャネルに加えて、非対面の通販チャネルを持つチューリッヒ生命は、チューリッヒ保険ほど在宅勤務志向が高かったわけではないが、2018年度から「在宅勤務の制度強化」を推進し、2019年12月に全社員が在宅勤務が可能な体制を整えたという。

コールセンター部門では、顧客からの電話の内容を記録する方法や、在宅で勤務するための機器の準備など、インフラ面が課題になっていた。そこで通話内容は従来どおり社内サーバーで記録しながら、入電をスマホに迂回させて音声受発信を行うシステムを導入したという。つまり、前述のチューリッヒ保険と同様のシステムを採用したというわけだ。

また同社では以前から商品パンフレットやマニュアルなどは電子化しており、オペレーターや顧客などが在宅で商品内容の確認を行うことも容易になっている。

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