三井住友海上あいおい生命 「&LIFE 新医療保険A」が好調な理由

病気やケガでの入院や手術に備える「医療保険」が進化している。MS&ADグループの三井住友海上あいおい生命が2013年12月に発売した「&LIFE 新医療保険A(エース)」は、短期・長期入院に対応した入院保障と手術保障などを主契約として、三大疾病やがん保障、女性疾病保障など顧客ニーズにきめ細かく対応できる8 つの特約を揃えた。

同社として約4年ぶりとなる医療保険の開発の背景にあるものは何か。同商品を取り扱う代理店の反応や、加入した顧客層の特徴はどうか。営業推進部・販売サポートグループの間野真吾課長(=写真)に聞いた。

(聞き手:高見和也)

 

「生きる」を支える保障が必要不可欠に

――現在の医療保険を取り巻く経営環境をどのように見ていますか。

近年は、治療や手術の方法などの「医療技術」が進化しています。その結果、国民の平均寿命は延びている傾向にあり、今後も引き続き寿命が延びることが予測されています。さらに日本では少子化、高齢化が急速に進んでいます。これによって、特に高齢者の医療費が増加傾向にあり、国民医療費が年々膨らんでいます。入院医療費の抑制に向けた医療制度改革が今後も加速すると見ています。

――厚生労働省の「平成23年患者調査」によると、病気やケガによる入院では、4人に1人が4日以内に退院していますね。

その通りです。医療技術の進化に加えて、さきほど述べた医療費の抑制を狙いとした医療制度改革によって、入院日数が短くなる傾向にあるのですね。それに伴って、特にがん治療などでは顕著ですが、今まで入院が必要とされていた治療が通院で可能となるなど、〝入院治療から通院治療へのシフト〟が進んでいます。

こうした医療を取り巻く環境変化は、私たち民間の生命保険会社が販売する医療保険にも大きな変化をもたらしています。従来の入院・手術を中心とした保障から、退院後の在宅医療や介護に対する備え、まとまった出費に備える「一時金保障」など、お客さまの「生きる」を支える保障が必要となっているのです。

――そうした中、昨年12月に「新医療保険A(エース)」を発売しました。商品化についてはどんな点に注意をしましたか。

さきほどお話ししたような現在の医療事情や、顧客ごとに異なる保障ニーズにきめ細かく対応できる商品を目指しました。「短期入院に加えて、三大疾病に多い長期入院への備え」、「ガン通院治療に対応した保障の充実」、「8種類の豊富なオプション(特約)」などが特徴です。

三大疾病は支払限度日数を無制限に

入院保障では、日帰り入院を含めて、4泊5日までの短期入院では一律5日分「入院給付金」をお支払いするほか、入院が長期化する傾向にある「ガン」「心疾患」「脳血管疾患」の三大疾病の場合は、1回の入院でも通算の入院でも、支払限度日数を無制限としました。この保障に加えて、病気やケガによる手術保障や放射線治療、入院期間中に約款所定の集中治療室(ICU)管理を受けたときの保障が「基本保障」となっています。

オプションとして付帯できる「特約」には例えば、「三大疾病入院一時給付特約」と「女性疾病給付特約」があります。前者は、ガン・心疾患・脳血管疾患で入院した場合に一時金を支払う特約で、再発の場合も2年に1回を限度に支払回数無制限で保障します。支払いの条件は、あくまで三大疾病で「入院」した場合で、「○日間の労働制限がかかった場合」などの要件は付きません。
一方、後者の女性疾病に関する保障は、女性特有の病気や女性に多い病気、ガンの場合に手厚くカバーする特約で、これまでに女性の加入者のうち約6割の方に付帯していただいています。

さらに、ガンのリスクへの備えとして、上皮内ガンを含むガンと診断確定された場合に一時金をお支払いする「ガン診断給付特約」と、入院を問わずガンで通院治療を受けた場合に、支払い対象期間中は日数無制限で保障する「ガン治療通院給付特約」を新設しました。三大疾病にによる入院の支払限度日数を無制限とした主契約との組み合わせで、医療保険でありながら、「ガン保険」の主要な保障をご提供できます。

――保障内容は非常に充実させたのは良く分かりました。一方、保険料水準はいかがでしょうか。

新しい医療保険が各社からも次々と発売される中、保障内容や商品性だけで差別化を図るのは容易ではありません。競争力のある保険料設定も重要なポイントです。「新医療保険A」では、保険料の払込期間中は解約返戻金がない「払込期間中無解約返戻金型」を新たに用意し、保険料水準を低く抑えています。

実は、2012年9月に発売した前身の「医療保険α(アルファ)」は、契約期間中に解約しても返戻金がある「低解約返戻金型」の医療保険で、解約返戻金がないタイプの医療保険との比較では、解約返戻金がある分、保険料が高くなります。

「新医療保険A」の保険料は、業界の中で最安値ではありませんが、同じような条件で比較した場合に、十分に競争力がある保険料水準になっていると思います。

発売2ヶ月で5万件を獲得

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――発売後の売れ行きや反響、加入者の年齢層や付加している特約などにはどんな特徴がありますか。

2013年12月2日の発売から9営業日で1万件の契約を獲得し、2ヶ月弱で5万件を突破しました。4月中には10万件の大台に乗る見込みです。当社が販売した医療保険では過去最高のヒット商品になりました。

損保プロ代理店を中心として、生保乗合代理店、来店型保険ショップなど約1万6000店の保険代理店などで好調な売れ行きを見せています。代理店からは「保障のバリエーションが豊富で、顧客ニーズに合わせた柔軟な提案ができる」など新商品を高く評価する声を多くいただいています。この商品の新規取り扱いを持ちかけて、新しい代理店を開拓する取り組みも進めています。

加入者の男女比はほぼ1:1です。30~40歳代が全体の約半数を占めています。オプションについては、90%以上の人が付帯している先進医療特約を含めて、一人平均で約3つの特約を付帯しています。特に「三大疾病入院一時給付特約」と「ガンの治療通院給付特約」の付帯率が高くなっています。

 

――最後に、以前から気になってきたことをお聞きします。いわゆる「持病がある人でも入れる保険」、正式には「引受基準緩和型医療保険」を発売しないのはなぜでしょうか。

確かに、現在、引受基準緩和型の医療保険が多く販売されています。しかし当社では、今回発売した「新医療保険A」もそうですが、医療保険については「特別保険料」を徴収したり、特定の部位を保障の対象外とする「特定部位不支払方法」の活用によって、幅広いお客さまからの申し込みを受けることが可能です。

また、告知書の記載事項だけでは保険引き受けに関して「条件」がついてしまう場合でも、人間ドックや健康診断結果などを別途提出いただくことで、さらに良い条件で査定結果を提示できる場合もあります。つまり、通常の医療保険においても、お客さまの健康状態に応じてきめ細かく引き受けることができるのが当社の特徴と言えるでしょう。

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