顧客満足度(CS)に関する調査やコンサルティングを行うJ.D.パワー・アジア・パシフィック(東京都港区、鈴木郁社長)は、「2014年生命保険金請求対応満足度調査」の結果を発表した。
請求対応満足度は2年連続で向上し、満足度が大きく改善した会社では顧客維持率も高まっていた。併せて、顧客の理解を促す担当者の対応力が、満足度に差をつけることも明らかとなった。
調査では、請求時の満足度が継続的に改善した場合に顧客維持率が高まる傾向が見られた。例えば、がん保険や医療保険などの医療給付金部門の業界平均では「今回請求した保険の契約を今後も続けたい」とする継続契約意向が、12年の30%から14年は32%と、+2ポイントとなっている。一方、12年から満足度が大きく向上している保険会社(1000点満点で+30ポイント以上)について見ると、継続契約意向は平均で4ポイント高くなっていることがわかった。
請求手続きについての満足度も大幅に改善した。調査では、請求方法への指示のわかりやすさや、必要書類への記入のしやすさといった項目に対する評価が高まっており、請求対応満足度の向上に寄与している。
説明の「量」よりも「質」が大切に
保険会社や代理店の担当者による手続きの手順や書類の記入方法の指示などの請求方法に関する説明の実施は、比較的多くの保険会社が推進しており、実施率は業界平均で90%近い。こうした中、請求対応満足度に差がつく要因は、説明をしたか否かという「量」の差ではなく、顧客の理解を促すためどう説明したかという「質」の差になってきている。
例えば、担当者が請求手続きについて説明した際「あなたが理解したかどうかを確認しながら説明していた」「あなたの質問にきちんと回答していた」と答えた顧客とそうでない顧客とでは、満足度の差は100ポイント以上となっていた。
一方で同社では「実施率は保険会社によって差があり、改善の余地がある」と説明している。こうした対応ができている会社とできていない会社の請求対応満足度の差は、最大で50ポイントあるとのこと。手続きに関して顧客の理解にあわせた丁寧な説明をするといった担当者の対応力向上が、顧客の評価に大きく影響した。
ソニー生命が「顧客対応」と「保険金支払い」の両項目でトップ評価
会社別の評価では、評価対象となった17社中ソニー生命が初めて1位となった。同社は「顧客対応」と「保険金支払」でトップ評価を得ている。2位のメットライフアリコは「保険金支払」でソニー生命と並びトップ評価となっており、3位の三井生命は「顧客対応」でソニー生命と並びトップ評価、4位のオリックス生命は「請求手続」でトップ評価を得ていた。
この調査は、直近1年以内に生命保険金・給付金の申請手続きを行った顧客を対象に、請求プロセスでの保険会社に対する満足度や各種活動実態を調べたもの。昨年12月にインターネット調査を実施し、7646人から回答を得ている。(高見和也)
J.D.パワー・アジア・パシフィックのニュースリリースhttp://www.jdpower.co.jp/news/2014260081/