東京海上ホールディングス、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、SOMPOホールディングスの3メガ損保各社は5月20日、2019年度(2020年3月期)決算を発表した。全グループともトップラインである損保の正味収入保険料は増収となったが、ボトムラインである当期純利益は前年度から減益となった。当期純利益では、MS&ADが25.8%減の1430億円と減益幅が最も大きく、SOMPOが16.4%減の1225億円、東京海上が5.4%減の2597億円となった。
生命保険料もSOMPOがを除く2グループが減収となった上、資産運用収益は全グループがマイナスと総じて厳しい決算内容となった。
それぞれのグループの決算を分析すると、まず東京海上は正味収入保険料で火災保険が前年度比14.2%増と大きく伸びるなど、すべての種目で増収となったことで、全体で4.1%増と伸びた。生命保険料は経営者向け保険の一部販売停止の影響が響き減収となった。連結純利益は国内外の自然災害の減少や、北米デルファイ社の資産運用が好調な一方、国内の異常危険準備金積み増しなどにより、前年度から148億円減少し、2597億円となった。
MS&ADは正味収入保険料で2.1%増。同グループも個人・企業向けに火災保険が好調であったことに加えて、ドラレコ付き自動車保険や新種保険の販売が好調に推移した。生命保険料は外国金利の低下により三井住友海上プライマリー生命の外貨建て保険の販売が大きく落ち込んだことで26.6%減となった。連結純利益はMSアムリンの黒字化を中心に海外子会社が増益となったが、国内で異常危険準備金の積み増しや海外事業再編に伴う損失、新型コロナの影響による株価下落で株式の評価損が発生したことなどにより、25.8%減の1430億円となった。
SOMPOは火災保険・自動車保険が好調で、中小企業向けの新種保険も伸びたことで正味収入保険料は3.9%増となった。生命保険は損保ひまわり生命の保障性商品が伸びたことで増収となった。ほかの2メガは貯蓄性保険の販売減が生命保険料の減収に影響したが、SOMPOは貯蓄性商品の比率が低いことが奏功した。当期純利益は海外子会社が利益貢献したが、前年度の政策株式売却加速の反動減や有価証券評価損などがあり、16.4%減の1225億円となった。
2020年度業績予想、東京海上は「未定」に
3メガ損保グループは2020年度(2021年3月期)の業績予想も発表した。
・経常利益は、MS&AD・1700億円(▲7.8%)、SOMPO・2230億円(15.9%増)。
・当時純利益は、MS&AD・1300億円(▲9.1%)、SOMPO・1500億円(22.4%増)。
・正味収入保険料は、MS&AD・3兆4000億円(▲4.9%)、SOMPO・2兆8600億円(1.2%増)。
・生命保険料は、MS&AD・6000億円(▲36.4%)、SOMPO・3585億円(0.7%増)。
東京海上は「新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響額を現時点で合理的に算定することが困難なため未定」としている。