UCDA研究開発部の指澤竜也氏に「わかりやすさの評価」を聞く(追跡「UCDAアワード2014」②)

UCDA研究開発部  指澤竜也氏に聞く

「評価」という言葉は、コミュニケーションの世界ではあまり聞かない。それはコミュニケーションを客観的に調べる機関もそのような習慣もなかったからだろう。工業製品ではあたりまえの「評価」という概念とプロセスを保険業界のコミュニケーションに持ち込んだのがUCDA。いままで「評価」をされたことがなかった申込書や通知物、パンフレットを、第三者の視点で客観的に「評価」したのがUCDAアワードだ。UCDAアワード2014を追う第二回は、研究開発部としてUCDAの「評価」の指揮をとっている指澤部長に話を聞いた。第三者機関として、「わかりやすさ」の評価・認証を行っているUCDAの中枢とも言える研究開発部。今年のアワードにおける「評価」の狙いは何か、注目すべきところはどこか、評価者の視点からアワードを追う。

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 ――UCDAアワード2014における指澤さんの役割は。

指澤 私はUCDAの研究開発部に所属し、評価方法の研究と評価のコーディネートをしています。UCDAアワードでは評価とレポートを担当しています。アワードでは、毎年、学識者の方々や消費者団体の方々、UCDAの理事の皆さんや実行委員の方々のご意見をもとに対象物を設定していますが、対象物が決まった後に評価のための研究をしなくてはいけません。それがアワードの中で一番大変なことです。公平な評価、最適な評価、納得性のある評価を目指して、関係者の話を聞いたり、実際のコンテンツを分析したり、生活者の行動を観察したり、準備がとても大切です。現在、専門家評価、生活者評価ともに進行中ですが、同じ目的で使用される対象物を一同に評価する機会はほとんどありませんので、とてもやり甲斐を感じています。

――今年のアワードの注目点は何でしょうか。

指澤 今回評価する対象物の中心は、記入が必要な帳票です。生命保険は給付金請求書、損害保険は申込書です。どちらも生活者にタスクを要求するものです。タスクが達成できない、タスクを達成するためにとても時間や労力を要する、間違えて記入してしまうなど重要なトラブルに発展する可能性があるものです。ですので、アナザーボイスの生活者評価が重要になります。専門化評価で指摘された問題点を、アナザーボイス(生活者)の記入結果や評価で分析するということになります。

――なぜ今年はこれらの対象物に決定したのでしょうか。

指澤 これまで生命保険は保険に入る前の募集パンフレット、入るときの告知書、入った後の総合通知を対象にしました。今年は保険を実行するための給付金請求書です。どれも非常に重要なコミュニケーションツールですが、契約者が保険会社に請求するための書類ですので、保険会社と契約者双方にとっても非常に重要な書類だと思います。学識者の方々や理事の皆さんからもそのような意見が多く出ました。損害保険は、保険に入った後に発送する証券、事故のときに保険金を請求する請求書を対象にしていましたが、今年は更改申込書です。近年、タブレットで申し込みができるようにしている保険会社が多いということで、紙とタブレットを対象にしました。

――アワードは、どのような基準に基づいて審査されるのでしょうか。

指澤 認証制度にあるように、UCDAではまず評価ガイドラインの選定からはじめます。どのガイドラインを使用して、どのような方法で評価をしていくのか、これがとても重要です。多くは、UCDA独自の評価ガイドラインである「DC9ヒューリスティック評価法」を使用しますが、生活者評価については、対象物によって評価方法が変わってきます。「DC9ヒューリスティック評価法」はとても緻密で的確な方法です。アワードの評価では一度にたくさんの対象物を評価するために効率的にできるようにアレンジしています。ひとつの基準で多くの対象物を評価すると、ひとつの評価だけではわからなかった業界としての課題が見えてくるのです。

――アワードの狙いはどのようなことでしょうか。

指澤 「問題点はわかっているのだが、1社だけでは改善できない」という話もよく聞きます。アワードという場で各社が共通の認識を持って、業界として改善していこうという流れを作ること、これがアワードの狙いの一つでもあります。アワードの結果を各業界団体や担当省庁に報告するのも、改善をサポートするUCDAとしての役割の一つです。日本損害保険協会の「わかりやすい募集文書のありかたについて」というプロジェクトに近いことができたらと思っています。

――「わかりやすさ」の普及に当たっての課題は何だと思いますか。

指澤 企業の皆さんは改善の必要性は感じていると思いますが、実際に取り組めるかどうかが鍵を握ると思います。最近では、企業の重要な活動として、お客さま視点での改善に動き始めている会社も徐々に増えています。これは、お客さまサービスとCSR両方の視点でとても大きな動きだと思います。ますます、第三者による客観的な評価が求められますので、これからも研究開発や評価に力を入れていきたいと思います。

「評価」が絶対ではない。しかし、評価なくして「改善」はない。高齢化社会の中で保険業界はどのようにコミュニケーションを「改善」していくのか。「評価」の成果をどのように「改善」に生かすのか。UCDAの「評価」は保険業界のコミュニケーションをどう変えるのだろうか。シリーズで検証していく。

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