【フォーカス人財育成】海外グループ会社社員に聞く ―三井住友海上
- 2015/1/25
- 業界最前線
「グローバルトレーニー制度」で来日した、MSIGホールディングス・アジア(MS&ADグループ)のオリビア・リーさんに聞く
海外グループ会社間の相互派遣制度で交流深める
世界に営業拠点が広がる国内損害保険会社では、海外のグループ会社との間で相互派遣制度などを通じた人材交流が積極的に行われている。MS&ADグループの三井住友海上でも、海外からの出向社員(セコンディー)受け入れや、国内から海外、または海外から国内へ社員を1週間ほど派遣するグローバルトレーニー制度などを実施し、国境を越えて社員同士が交流したり、専門知識を高めたりできる機会を設けている。2014年度の「グローバルトレーニー制度」に参加し、シンガポールから訪日したオリビア・リーさん(MSIGホールディングス・アジア)に、短期研修でどんなことを学んだか、日本での経験を帰国後にどう生かしていくかなどを聞いた。(Kazuya Takami)
――はじめに、現在の業務内容について教えて下さい。
オリビアさん 私が勤務するMSIGホールディングス・アジアは、三井住友海上グループが戦略的に重視しているASEANと香港の現地法人を統括する持株会社です。所属するコーポレートサービス部門は、人事部門、研修部門、広報部門の3つの部門で組織されていますが、私は広報部門に所属し、ASEAN各国におけるブランド戦略の策定やその実行などに関わる業務を中心に担当しています。
――グローバルトレーニー制度に参加しようと思ったきっかけは。
オリビアさん 海外の社員が日本の本社で学べる機会はそう多くはありません。またとない貴重な機会だと思ったことが応募しようと思ったきっかけです。2014年度には16ヵ国から46人のトレーニー(派遣者)が日本で研修を受けると聞いていますが、各国の社員の方々と意見交換したり、交流できたりするのにも魅力を感じました。
――約1週間の研修ではどんなことを学びましたか。
オリビアさん グローバルトレーニー制度は、国際業務部が中心となって行う全体セッションと、各部署の業務を具体的に学ぶコースセッションとに分かれています。全体セッションでは、機能別再編を推進する三井住友海上の経営戦略や中期経営計画について理解を深めるとともに、コールセンターなど顧客対応の現場も見ることができました。参加した各国のトレーニーとの交流会やディスカッションを通じて、さまざまな〝気づき〟を得たのは貴重な体験でした。
コースセッションでは広報コースに所属し、マスコミ対応や本社のブランド戦略、スポーツ広報、社内広報業務など幅広い分野について研修を受けました。東京証券取引所や日銀記者クラブなど、IRや広報にかかわる重要な拠点を視察することもできました。部署の方々が慣れない英語を使いながらも、私にたくさんのことを伝えようとしてくれて、日本人のホスピタリティを感じました。
マスコミとの関係作りや危機管理体制を学ぶ
――シンガポールに戻って業務に生かせそうなことはありましたか。
オリビアさん とても勉強になることばかりでしたが、特に私の業務と深く関わる広報関連では、マスコミとの理想的な関係作りや有事の際の危機管理体制のあり方などはとても参考になりました。また、本社広報部が国内の全社員に向けて発信している衛星放送を活用したテレビ番組(MSプラス)はとてもユニークで、新しい社内広報のスタイルとしてASEANの現地法人でも取り入れたらいいのにな、と思いました。文書よりも映像の方が伝わるということもありますからね。
――そのほか、日本で滞在中に印象に残ったことは。
オリビアさん 本社の女性社員がとても生き生きと元気よく働いているのが印象的でした。その一方で、男性の若手社員の方々がシャイだったことは意外でしたが…(笑)。共働きが多いシンガポールでは、女性の社会進出が進んでいます。当社でもあらゆる部署で女性が活躍しており、管理職に占める女性の割合は2割に上ります。女性社員のパワフルな働きを目にし、日本でもこれから女性の活躍が進むのではないかと肌で感じました。短い滞在でしたが私自身も大きな刺激を受けた1週間でした。本社で学んだことや経験したことを生かして、今後も新しいことにどんどんチャレンジしていきます。
【Olivia Lee(オリビア・リー)さんのプロフィール】
8年間の銀行勤務を経て2012年にMSIGホールディングス・アジア(MSIG Holdings(Asia) Pte. Ltd.)に入社。広報部門のマネージャーを務める。座右の銘は、If you don’t challenge yourself, you’ll never grow.(チャレンジなしに成長はありえない)。休日は青少年の育成活動にも従事。趣味の登山は、マレーシア・ボルネオ島のASEAN最高棒(4095m)のキナバル山に2回も登頂成功している本格派。