完全雇用型の募集人で組織する外販部隊! 「FP営業部」立ち上げの狙いとは? みつばち保険の小林尚哉副社長に聞く

来店型の保険ショップなど多くの保険募集人を抱える保険代理店への規制が厳しくなっている。今年1月には監督官庁である金融庁が保険会社に対して、代理店が第三者に保険販売を再委託することを禁止する監督指針の改正案を公表したからだ。これにより、正社員ではない委託型募集人を雇用する代理店は、募集人の雇用体系の見直しなど、抜本的な体制整備を求められることになった。 ただ、この法整備は一方で人材の流動化という課題を生み出している。福利厚生や社会保険、研修制度、使用人の管理義務など、改正案の下では一層の体制強化が求められる。こうした中、人件費や管理費などのコスト増につながる改革に踏み切れない代理店は、優秀な人材を手放さざるを得ないケースも出てくるからだ。委託型募集人は全国で5~6万人もいると言われている。今後、行き場を失った募集人が業界にあふれ出てくるだろう。 今年4月、来店型保険ショップの店舗数で業界第2位のみつばち保険グループは、「完全雇用型」の保険募集人で組織する「FP営業部」を発足させた。6月から募集人の採用がスタートしており、今年中に、200人以上の募集人を正社員として雇用する方針を打ち出している。なぜこのタイミングで外販専門の部隊を立ち上げたのか。同社の狙いはどこにあるのか。小林尚哉取締役副社長に聞いた。(聞き手:高見和也)

完全雇用型募集人の採用・育成に一日の長

 

――4月から保険外販の新しい組織、「FP(ファイナンシャルプランナー)営業部」を発足させています。その狙いについて教えて下さい。

小林 いままで保険ショップとして、来店型でのみ提供していた「みつばちほけん」のサービスを訪問型としてお客さまに届けることが大きな狙いになります。全国各地にFP営業部の支部を設置し、来店が困難なお客さまや訪問を希望するお客さまに対応していきます。4月に準備室を発足させ、6月1日から東京、宇都宮、大阪、青森に営業拠点を立ち上げて本格的にスタートしています。今年度末には15~20拠点に拡充する計画です。

――保険募集人については「完全雇用型」を謳っています。

小林 そこが大きなポイントです。完全雇用型とは具体的には、「福利厚生・社会保険の完備」、「適切な教育・研修制度」、「使用人の管理義務」などのきちんとした制度や枠組みに基づいて雇用・管理する正社員を指します。「社員型」と言ってもいいでしょう。当社はもともと保険ショップの店頭に出る営業担当者は、全員社員として雇用しており、いわゆる「委託型募集人」はいません。保険代理店として、社員型の募集人の採用・育成・管理に関しては一日の長があると自負しています。

――どうやって人材の確保に努めていきますか。

小林 金融庁が打ち出した新たな監督指針による規制強化で、委託型募集人を多く抱える保険代理店から人材が流出すると見ています。委託型から社員型への転換に関しては、販管費などのコスト増に加えて募集人の監督責任など、雇用する側の負担が大きくなり、優秀な人材を手放さざるを得ない代理店も出てくるでしょう。営業マンのリクルートはコストや労力がかかるのが通例ですが、現在は低コストで優秀な人材を集めやすい環境になっていると思います。

「経験者だから採用するわけではない」

小林尚哉副社長

――採用については、保険営業の経験が絶対条件になりますか。

小林 現時点では保険営業の経験者を募集しています。ただし、経験者だから即採用という訳ではありません。当社のプランナースピリッツである「みつばちが選ばれる会社になるために」という姿勢に共感し、同じ価値観を共有できる人材を求めています。委託型募集人にはさまざまタイプの人がいて、1年のうち1ヶ月間しか保険を売らない人や、法人営業しかしない人などがいるわけです。当社としては、1年を通して保険をコンスタントに売り続けている人、さらに個人保険に対しての思い入れが強い人に来ていただきたいと考えています。今後、定期的に説明会などを開催し、人材の採用を継続的にしていきます。今年7~8月頃までにはまずは40~50人を採用し、年内にはFP営業部を200人の陣容にしていきたいと思っています。

――保険ショップの伸びは踊り場に来ているとの指摘もありますが、今後をどう展望していますか。

小林 現在、生命保険の全契約者のうち、約7%の人は来店型の保険ショップ経由で加入しているという調査結果があります。5年前の1%弱から7倍以上に急増しているわけです。私は、お客さまの3人に1人は「自ら足を運んで保険に加入する」層だと考えており、保険ショップのシェアは30%以上に伸びると推測しています。そう考えると、まだマーケットの5分の1しか制覇していません。現在、全国に保険ショップは2000店舗ぐらいあり、そのうち当社は約200店舗を占めています。将来的に保険ショップが1万店舗ぐらいになったときに、その3分の1の3000店舗ぐらいを占めているように、今後も出店を拡大する方針です。

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