スイス・リーが新型コロナウイルス感染症に関する消費者意識を調査

スイス・リーは、日本の居住者500人を対象に「新型コロナウイルス感染症に関する消費者意識調査」を5月最終週に全国規模で実施し、6月18日に結果を発表した。新型コロナウイルス感染症の流行拡大が、経済状況、健康全般、将来の保険申込みに対する消費者心理にどのような影響を与えたかを知ることが目的。同様の調査はアジア太平洋地域(APAC)の5つの市場(オーストラリア、中国本土(北京、上海)、香港特別行政区、インド(バンガロールおよびムンバイ)、シンガポール)でも実施された。

4割が「経済状況に不安」、調査対象国で最多

日本の消費者の3分の1が経済状況に関して「かろうじて対処している」としながらも不安を感じており、また、「経済的に逼迫し対処不可能」も4%にあった。これを合計すると37%に上り、調査対象となったAPACの6つの市場で日本の消費者が今後の経済状況に最も不安を感じていることが分かった。今後の自身の経済状況については、楽観的で前向きに考える日本の消費者はわずか16%と全市場で最低。

今回の調査では、過半数(47%)がストレスを感じながらも対処していることが判明。その最大の不安材料として60%の回答者が社会の混乱と日常生活の変化、自らの身体的健康を挙げ、33%が病気への不安を抱いている。しかし、ソーシャルディスタンスを取ることによって生じるメンタルヘルスに対する不安は調査の全市場の中で最も低かった(33%)。

保険解約の意向はわずか1割

一方、経済的に不確実な時期にあっても、日本の消費者は保険を解約する傾向が最も低いことが分かった。保険は貴重な財産であり、生命保険解約を考えている回答者は14%、住宅/自動車保険も10%にとどまった。契約の変更を躊躇するとした消費者は32%と、調査対象となったその他市場よりも多い。積極的に新規契約を検討した消費者も8人に1人(13%)と最も低く、実際、この時期に新規に契約した消費者も14人に1人(7%)に過ぎない。

スイス・リー日本支店、ヘッド、クライアントマーケットP&C/L&Hのジョン・モック氏は、「これらの調査結果から、新型コロナウイルスによってもたらされた不安とストレスが依然として、日本の消費者の間に存在していることがわかります。こうした感情は、支出削減のために削ることができる項目についての質問に対する回答からも明らかです」とコメントしている。また同氏は、「興味深いことに、契約の見直しや保険金請求の際、日本の消費者の多く(36%)が、保険プランに健康管理アプリや所得補償といった付加給付を付けられることに気付いています。このように好奇心が強く、知識が豊富な顧客は、新製品の特長やアイデアを受け入れやすく、保険会社にとっての顧客エンゲージメントを高めるチャンスを提供しています」と語る。

保険会社からのコンタクトがその他の類似サービス・プロバイダーよりも積極的であるとした回答者が大多数に上る一方で、10人に1人はそうではないと回答している。保険会社が積極的であると回答(40%)したにもかかわらず、保険会社から最近連絡があった回答者はわずか14%に過ぎない。これは、調査対象となった市場の中で最低の数字だが、連絡を受けた回答者のうち、約5人に1人(22%)が保険を購入している。また、最近、自分が加入している既存のプランを確認したり、支払いを請求したりしたときに、約3分の1(36%)が、健康管理アプリや給与保証などの付加的なメリットがあることに改めて着目している。

さらに、今回と同様の危機的状況が発生した場合については、半数がより迅速な請求プロセスを重要視し、41%が今後の保険料における一定期間の割引を重要視していることが分かった。ジョン・モック氏は、「この困難な時期は保険会社にとって、より多くの顧客と関わり、サポートを提供し、保険契約に含むことが可能な商品特性を紹介できるチャンスです。前向きに考えれば、およそ5人に1人(19%)は、新型コロナウイルスのために保険会社が柔軟に対応していると感じており、これが現在の消費者にとって重要であることは間違いありません」と述べている。

半数以上が保険加入でストレス緩和、経済的助けを実感

APAC全体の回答者同様、日本の消費者の半数以上(58%)が、保険に加入していることがストレスを緩和し、経済的な助けにもなっていると回答した。これは全市場で3番目に高い。また、保険契約の解約にも消極的(生命保険14%、住宅/自動車保険10%)で、ケーブルテレビやインターネットの接続料金(23%)よりも保険料の支払いを優先する意向がうかがえる。

保険会社の選択に関して日本の消費者は、付加的なサービスが含まれているかどうかを最も重要視する割合は56%、請求プロセスと保険購入がすべてオンラインで済ませられるかどうかを重要視する割合は49%に上った。付加価値については、マスクや医薬品などの製品を最優先で入手できることを第一に挙げ、保険金支払の他に緊急の経済支援があれば魅力的だと答えている。

今後について、日本の回答者の大半(59%)が、新型コロナウイルスの感染拡大により、これまで以上にオンラインで保険を購入する可能性が高いようだ。保障範囲の拡大にはより慎重になっており(36%)、29%がおそらく保障範囲の詳細を慎重に見極めるようになると回答した。

スイス・リー日本支店の代表を務める百々敦浩氏は、「消費者の健康維持と経済的安定が大きな課題となっている今日において、日本およびアジア地域の消費者が、保険により提供されるリスク緩和効果に高い価値と信頼を置いているのは心強い点です。この苦境下において、私たちがレジリエンスを向上させるためには、お客様の関心事とニーズへの理解を深 めることが不可欠です」と述べている。

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