MS&ADグループのあいおいニッセイ同和損保はデジタル化に大きく舵を切っている。同社経営企画部・プロジェクト推進グループ長の矢澤雅之氏が「デジタル化が保険業界へ与える影響とデジタル化への対応のポイント」と題して、4月19日に開催されたセミナー(主催:セミナーインフォ)で講演した。
同社は、「特色ある個性豊かな会社の追求」をスローガンに掲げている。その達成のためICTプロジェクト推進やデジタル戦略推進による業務改革に取り組んでいる。「従来のデジタル化といえば人がが行っていたことを肩代わりするのが目的だが、イノベーションにつながるためにはどうするかが当社のデジタル化のポイント」と矢澤氏は強調した。
矢澤氏は「当社は合併を繰り返した結果、IT投資がまだ十分にできておらず、3メガ損保に比べて取り組みが遅れていた」と率直に語ったうえで、「2018年はデジタル化にいっそう力を入れる」と述べた。
具体的には、コールセンターやヘルプデスク、営業店に入った照会応答業務を一元的に管理し、AIを活用して迅速で正確な対応を目指していることを説明。さらに、保険金支払業務で有無責判断支援システムを導入したり、自動車販売店や修理工場から事故車両の動画を送信してもらい、リアルタイムで修理内容の打ち合わせが可能な「視界共有システム」を導入していることも強調した。
そして、最後に同社は、他社にはない自動車保険として、18年1月から日本初の運転挙動反映型自動車保険を発売したことを説明し、「事故を起こさない9割の顧客にテレマティクスを活用すること価値を提供していきたい。今後、自動運転の進展で事故を起こさない人が増えることで、より多くの人にメリットを感じてもらえる」(矢澤氏)と語った。
これまでの保険会社と顧客との関係は、「一般的、多くのユーザ-」、「定期的」、「対面・アナログ」がキーワードだったが、これからは「パーソナライズ」、「タイムリー」、「デジタル」が価値提供のキーワードになるとし、価値提供には「ベンチャー企業など他社との協業を視野に入れたオープンイノベーションが大切」と結んだ。