セブン&アイ・ホールディングス傘下のニッセンライフ 保険・金融の専門家を探せるWebサイト「FPナビ」を運営

保険代理店が運営する〝FPと消費者のマッチングサイト〟

無題

「FPナビ」のトップ画面

セブン&アイ・ホールディングス傘下でニッセングループの生損保乗合代理店、ニッセンライフ(京都市中京区・権藤祐司社長)が2014年11月に開設した「FPナビ」の利用者が着実に増えている。

同サイトは、保険・金融の専門家であるFP(ファイナンシャル・プランナー)と顧客とをつなげるマッチングサイトで、利用者は無料で保険や金融全般のことを相談できるFPを探すことが容易になる。これまで、FPを探すためのサイトは存在したが、多くが保険募集人の資格を持たない事業者が運営しており、保険募集人の集団である保険代理店がこうしたサイトを運営することは珍しい。

「FPナビ」開設以後、利用者は右肩上がりで伸びている。「当初の想定より3割増し程度で利用者数は推移しており、消費者ニーズが強くあると感じています。1年以内に500人以上のお客さまに活用していただくことが当面の目標です」とサービス開始に当たり陣頭指揮を執った隈田公徳取締役は強調する。同社は、顧客が必要と感じる情報を中立的な立場でわかりやすく説明してくれるFPに対するニーズは今後も高まっていくと見ており、「当社も代理店として、保険募集人からFPの集団へ変化していく」(権藤祐司社長)という方針に沿って「FPナビ」を展開している。

「保険検討を妨げるハードルは何か?」を徹底調査

同社がFPナビを開始するきっかけになったのが外部のマーケティングリサーチ会社の協力をもとに実施した「エスノグラフィ調査」だ。同調査は生活者心理を深く理解するためのリサーチ手法の一種で、顧客へのアンケート調査やインタビューに加えて、自宅や購買現場などに訪問して行動プロセスまで観察することで、アンケートやインタビューだけでは見えてこない消費者心理を把握することを狙いとしている。

この調査を通じて同社が把握しようとしたのが、「保険を検討したいが、情報収集や相談、比較などの行動を妨げているハードルは何か?」ということだ。保険商品は簡単には理解するのが難しい商品と言われている。しかも商品は多様にあり、自分にとって最適な商品かを判断するのも容易ではない。こうした中、消費者の心理を理解し、保険検討する際のハードルを下げることができれば、より多くの顧客から選ばれる代理店になると考えたのだ。

複数回のインタビューやグループ・個別インタビュー、自宅や購買現場への訪問などの綿密なリサーチを経て浮かび上がって来たのが、中立的な立場で顧客ニーズに合わせて商品を提案してくれる上、単に「答え」だけでなく「考え方(保険との関わり方)」まで説明してくれる「FP」の存在だった。「保険検討に向けてのハードルを下げる」という狙いから、会社として「保険募集人の集団から、FPの集団への転換を図る」ことを方針として決定。社員のFP資格取得者を増やすとともに、「FPに相談したいがどう探したら良いかわからない」という消費者のために構築したのが、全国の提携代理店およびニッセンライフのFPを紹介するWebサイト「FPナビ」だ。

検索機能も充実、PBマークでセキュリティ強化

「FPナビ」では、消費者は地域や相談方法、相談分野、FPの性別・年齢などに応じて自分の希望にあったFPを検索することが可能だ。さらに、検索後の「並べ替え機能」も充実させた。たとえば、首都圏で検索すると多数のFPがヒットする。これを保有資格数や「お客様評価」などの項目で自在に並べ替えて抽出する機能も設けている。FPへの相談は無料で、顧客に保険商品を販売する場合は、ニッセンライフと、FPが所属する提携代理店との共同募集となる。事前に紹介手数料の授受などは一切ない。

登録しているFPの数は、3月26日時点で274人。全国展開する提携保険代理店8社に所属するFPに加えて、ニッセンライフ所属のFPとで全国ネットワークを構築している。相談できるFPの顔写真や保有資格、経歴などのプロフィールなどもサイトに掲載している上、アンケートから得た顧客からの評価も開示しており、消費者が選択する際の判断材料を提供している。

また同社独自の「ニッセンライフ認定FP制度」も設けた。通常のFPの認定基準よりもさらに厳しく選定しており、高いレベルで品質を維持するのが狙いだ。顧客情報とFP双方の個人情報を扱うこともあり、Pマークも取得するなどセキュリティ強化にも努めている。

メーン利用者は30歳代のファミリー層

昨年11月のサービス開始から約5ヶ月か経過して、利用者は順調に増えている。当初予測したとおり、サイトの利用者は30~50歳代の勤労者世帯で、メーンは30歳代のファミリー層が多いという。顧客からは「FPという存在は知っていたが、これまではどこで探せば良いかわからなかった」などの声が多く出ており、Webサイトが消費者とFPとのマッチングに成功しているようだ。

今後の課題は、登録FPの人員の拡充と保険商品以外の金融商品の対応という。利用者数の拡大に伴って、より全国を広範囲でカバーできる販売網の構築が必要になってくる。特に山間部や離島など手薄になっている地方エリアに対応するにはまだまだ数は足りない。

また現在では保険商品の提供がサービス中心となっているが、今後は投資信託、住宅ローンなども含めた金融商品全般、介護・相続などより幅広い分野に、ニッセンライフとして深く関わっていけるようにサービス・機能を強化していく考えだ。

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「FPナビ」の構築・運営に携わるニッセンライフの女性社員(左から、アライアンス推進部の高山三恵子部長、鈴木由伊さん、辻村美紀さん)

 

 

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