かんぽ生命は保険金支払審査業務で、日本アイ・ビー・エムの人工知能(AI)ワトソンを導入することを発表した。狙いは、顧客サービスの充実と品質向上、業務効率化などで、査定担当者の判断支援を行う。
かんぽ生命とIBMは、2015年2月からワトソンによる保険金支払審査業務の支援で検討を開始し、プロトタイプで実施と機械学習の検証などをおこなってきた。これまでに約500万件におよぶワトソンによる機会学習を実施した。
査定担当者への判断支援では査定担当者が判断に迷うような事案について、ワトソンへ問い合わせると、学習結果に基づく支払い判断に関する推定結果と、参考となる過去事案をエビデンスとして確信度付きで提示する。これにより査定担当者はワトソンが提示した内容に基づき、査定判断が行える。ベテランが対応してきた難易度の高い事案に対する査定判断を比較的経験が浅い社員でも実施できるようになる。
同社では、ワトソン導入で査定時間の短縮などの効率化が見込めるとしており、保険金の迅速な支払いが可能になるという。査定担当者の働き方改革につながることにもなる。
4月からは保険金支払審査業務でワトソン導入のノウハウを活用し、コールセンターへの導入も予定している。