トライアングル少額短期保険 櫻井滋社長に聞く 『障がい者向けの専用商品で、保険のバリアフリー化を実現したい』

「障がいや持病ある人」でも入れる医療保険を開発

 内閣府が発行した2014年「障害者白書」によると、国内の障がい者の数は、身体障がい者が約394万人、知的障がい者が約74万人、精神障がい者が約320万人となっている。1993年や2004年の「障害者基本法」の度重なる改正によって、障がい者に対する差別の禁止や権利・利益を守るための法整備が進められるとともに、バリアフリー化などの環境整備も進んできた。これによって、障がい者の社会進出は着実に増えてきたが、いまだ障がい者にとって閉ざされた分野があるとすれば「生命保険」はその一つかもしれない。

 一般に障害や持病があると生命保険への加入は困難だ。障害や持病があると健常者よりも病気やケガをし易いと保険会社に判断されてしまうからだ。近年、生保各社は持病・既往症のある人向けに引受基準を緩和した医療保険などを積極的に販売しているが、会社によっては、障害や精神疾患があると引き受けを断っているケースも出ている。しかも、こうした持病・既往症ある人向け保険商品のほとんどは、20歳未満の子どもは加入することが難しい。

 営業開始から3年目を迎えたトライアングル少額短期保険は、「必要とする方々へ必要とする保険をお届けする」という経営理念に基づき、保険の〝バリアフリー化〟を実現する専用商品を開発している。同社の櫻井滋社長に、事業にかける想いや商品の特徴、販売方法、今後の展望などを聞いた。(高見和也)

 

 1泊2日以上で、10日分の入院給付金を一括支払い

――障がい者や難病患者、持病ある人向けの独自商品を扱っています。商品の特徴について教えて下さい。

櫻井 今年(2014年)2月に販売開始した「ほっと入院サポート」が、当社の新商品で、現在の主力商品として販売しています。この商品は、障がいのある人や持病・既往症ある人でも、3つの簡単な告知項目に該当しなければご加入いただくことが可能です。生保会社が発売する一般の医療保険は、持病や既往症があれば加入できない場合が多いですが、当社の商品は、そうした方でもお申し込みいただくことができるうえ、持病や既往症の悪化による入院も保障します。入院保障は、1泊2日以上で10日分の給付金を一括でお支払いするのが特徴です。

――しかし、生保各社も近年は引受基準緩和型の医療保険を発売し、持病や既往症ある人にも販売ターゲットを広げていますね。

櫻井 確かにその通りですが、生保各社が現在販売している引受基準緩和型医療保険は、20歳以上または30歳以上からしか加入できない商品がほとんどで、20歳未満の子どもが加入できる商品はわずかしかありません。その点、当社の「ほっと入院サポート」は、3歳からご加入いただけるのが他社との大きな違いです。

さらに、障がい者や難病患者、精神疾患患者は、たとえ引受基準緩和型医療保険であっても、生保会社から引き受けを断られるケースがあると聞いています。実際、障がいがあるため、ほかの生保会社から引き受けを断られた人が、当社の医療保険に加入するケースは多くあります。

――商品開発のきっかけを教えて下さい。

櫻井 商品開発のきっかけを語ることは、会社立ち上げの経緯を語ることにほかなりません。私は、当社を設立する前から40年以上にわたって保険会社・共済への勤務経験の中で、障がい者施設などを訪問するときに、障がいを持った子供たちが加入できる医療保障がほとんどないことに気付きました。家族全員の保険を頼まれたときにも、障がいがある子どもに提案する保険がないのです。何人もの親御さんから「子どもが入れる保険はないのか?」という相談を受けました。

国は「障害者基本法」の改定などで障がい者の権利や利益の平等を謳って、障がい者が社会参画できる法整備を進めていますが、保険の加入に関しては必ずしも平等とは言えません。これはおかしいと思いました。「障がい者が自分たちで選択して加入できる保険を作ることはできないか?」「そのことによって、社会参画の意識を持ってもらえるのではないだろうか?」-。このように考えたことが商品開発につながっているのです。

会社創業時、設立メンバーが東京や埼玉、神奈川など障がい者施設を約200箇所回って、障がい者の方の保険ニーズのリサーチを行いました。その結果、障がいがある7~8割の人が医療保険に関心があるうえ、その必要性を感じていると回答したのです。障がい者の方にも強く求められていることを実感し、専用の医療保険の開発が急務だと思いました。

――障がいがある人の保険ニーズの高さに驚きましたが、障がい者手帳を交付されている人などに対しては、公的な医療費助成制度があるのではないでしょうか。

櫻井 その通りです。各自治体によって医療費助成は異なりますが、身体障がい者手帳の1~2級の方や、療育手帳(知的障がい者手帳)の重度判定の方などに対して健康保険の自己負担分の全額または一部が助成されています。このように医療費負担に関しては公的な補助があるように見えますが、健康保険の適用外である差額ベッド代や付き添い介護費用などは助成対象になっていないのが実態です。

たとえば障がいや持病がない入院患者の方などは、大部屋で治療に専念できますが、ダウン症や自閉症患者は感染症の予防などの面から「個室」に入院せざるを得ないこともあります。また、障がいのある方の入院の際には、保護者である親の付き添いや病院付き添いサービスを利用することで、費用の自己負担分が発生することもあるのです。

大手乗合代理店やプロ代理店での取り扱い拡大

――新商品「ほっと入院サポート」発売後の反響はいかがですか。

櫻井 通常の医療保険にご加入いただけない障がいがある方をメーンのお客様層と考えて開発した商品ですが、持病や既往症がある方からのお申し込みも多数いただいています。年齢層も、20歳未満の方から40歳以上の中高年にいたるまで幅広い層に広がっています。取り扱いの代理店チャネルも着実に増えており、6月末時点で関東の代理店を中心に全国約140店に及んでいます。通販代理店や来店型保険ショップなど、大手の乗合代理店を通じた販売も伸びています。現在は通販、保険ショップ、プロ代理店の各販売チャネルで取り扱っていただいており、今後も当社の理念にご賛同いただける代理店を拡大していきます。

このほか、当社社員が直接、介護施設を訪問して商品をご案内したり、難病団体などへのアプローチを開始しています。まだ商品や当社に対する認知度はそれほど高くありませんので、より多くの方に知っていただくような努力を続けていきたいと考えています。

ーー今後、どのような保険商品を開発していきますか。

櫻井 私たちは、「障がい者」と「社会」と「当社」を結ぶ三角形をイメージして「トライアングル」少額短期保険という社名にしています。今後も、「必要とする方々へ『必要な保険』をお届けする」という理念に基づいて、新しい保険商品に送り出していきたいと考えています。具体的には、少額短期保険業は生損保商品の発売が可能なことから、今年秋頃の発表を目指して、新しい損保商品の開発を進めています。また、高齢者専用の新保険商品の開発も今後予定しています。


【櫻井 滋氏プロフィール】

1949年生まれ。1971年成城大学経済学部卒業。朝日火災、エクイタブル生命、あいおい生命、アイリオ生命などで営業推進・営業開発・経営企画・顧客サービスなどに関わる。2010年12月設立。2012年6月トライアングル少額短期保険が東海財務局に少額短期保険業として登録(2014年2月関東財務局に登録変更)。2012年9月入社。2014年7月代表取締役社長に就任。

トライアングル少額短期保険のホームページへ

 

 

 

 

 

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