5月25日に約1ヶ月半にも上った緊急事態宣言が全面解除された。これを受けて、全国の営業拠点や支社などを閉鎖し、対面での營業を自粛していた生命保険各社は、6月1日から営業拠点の閉鎖を解除し、営業活動を順次再開することを明らかにした。
4月7日に首都圏など7都府県に緊急事態宣言が発令されたことを受けて、生保各社は翌8日には対象地域の営業拠点の一時休業を発表。その後、13日には多くの生保が販売自粛を全国の営業拠点に拡大し、全営業職員はテレワークに移行し、原則的に対面での營業ができなくなった。全国約23万におよぶ営業職員に加えて、ソニー生命などライフプランナーなどの営業担当者も販売自粛を余儀なくされた。
その間、新規營業は事実上ストップしたが、契約の保全を止めるわけには行かない。営業職員らは会社から支給されたノートPCやタブレット端末、スマホなど非対面のツールを活用し、顧客とコンタクトをとり、コールセンターなどとも連携を取りながら、郵送やネットでのやり取りで保全業務にあたった。
販売再開したからといって、一気呵成に対面営業を展開し、新規契約の獲得に走れるわけではない。対面での營業には新型コロナウイルスの感染リスクがつきまとう。当面の間は、非対面ツールを併用しながらの營業となるはずで、今年度以降の生保業績に影響を与えることは必至だ。トップラインである保険料等収入は前年度に比べて落ち込むことは避けられないだろう。ただでさえ、外貨建ての一時払い保険などは金利低下から販売停止にしている生保もあり、コロナがなかったとしても厳しい環境下にある。
頼みの綱と言えそうなのが、日本生命、明治安田生命、住友生命が2020年に入って新発売した「認知症保険」で、金利など市場環境に左右されない保障性商品の目玉としての販売に期待がかかる。すでにライバルの第一生命が認知症保険の契約を順調に伸ばしており、他の生保の出方が注目される。