自動運転車と自動車保険
- 2016/2/13
- ニュース
グーグルの自動運転車など、自動運転技術の進化が進んでいます。その進化のスピードはすさまじく、今後10年もすれば、部分的に自動運転技術を搭載した自動車が多く普及することでしょう。
ボストンコンサルティンググループの推測によると2035年までに世界の新車販売台数の25%に当たる約3000万台が自動運転車になるとしています。自動運転車にはレベル1〜4までの段階があり、
ドライバーがハンドルと握ることがない「完全自動運転車」はレベル4の技術と言われています。
現在のレベル1の自動ブレーキなどの部分自動運転車でも軽微な衝突事故などは回避できるはずです。実際、私もスバルの自動運転を搭載した車に乗っていますが、自動ブレーキのおかげで、衝突を回避したことが2回ほどありました。
実は、自動車事故のうち最も多いのは、クルマとクルマの衝突や、障害物の衝突などです。これらの事故はドライバーの不注意やよそ見などで発生することが多く、特に判断力の衰えた高齢者で事故が多発しています。自動ブレーキや誤発進防止機能などの装置がもっと普及すれば、自動車事故を少しは防ぐことは可能なはずです。
自動車事故が減ると何が起きるのか? まず考えられるのは保険料の割引でしょう。自動運転技術を搭載した自動車に乗っている人の自動車保険料が安くなることが考えられます。自動ブレーキ割引なども登場するかもしれませんね。
ただ自動車事故が減るからと言って、自動車保険がなくなるわけではありません。グーグルの自動運転車でもわかるように、低速で走っているグーグルの自動車に、通常のスピードのクルマが衝突したりする事故は発生しているといいます。また、いくら自動運転と言っても100%事故を回避できるわけではありません。飛び出してきた障害物をよけた結果、ガードレールなどにぶつかったりすることもありえます。世の中に走っている車がすべて自動運転車になれば相当数の事故は減ると考えられますが、自動車の耐用年数が10〜15年であることを考えると、新車の100%が自動運転車になる時代がたとえば2050年としても、すべてのクルマが自動運転車になるのは2060〜2065年になるでしょう。順調に言ったらですが・・・。
ただ、普及には法改正が必要です。というのも国内の道路交通法では、運転者がハンドルやブレーキを操作して安全走行に努めなくてはならないと決められているからです。海外の道路交通法でもそのようになっており、それらの改正が必要になります。
もし、自動運転車が原因で事故を起こした場合は、PL(生産物賠償責任保険)の対象になるかもしれません。この保険は、メーカーなどが生産したものに欠陥があった場合、利用者やそのほかの人が被害に遭った場合の損害賠償を補償する保険です。今でも自動車メーカーはPL保険に加入していますが、ほとんど活用されていません。というもの、自動車の欠陥で事故が発生したというのを証明することが大変難しいからです。
でも自動運転車になり、ドライバーが乘っていない車が事故を起こせば、これは自動車の欠陥ということになるかもしれません。そうなると従来の自動車保険ではカバーしきれずに、新しいPL保険というものが売り出されるかもです。
どちらにしろ、自動運転車の普及に伴って、自動車保険の補償内容や、保険料などは変わってくることは必至でしょう。
(ライター:石山輝幸)