MS&ADインシュアランスグループのあいおいニッセイ同和損保は、急ブレーキや急発進の有無など、「運転挙動」を毎月の保険料に反映させた国内初のテレマティクス自動車保険を、2017年度下半期(10月以降)をめどに発売する。
これまで、走行距離を自動車保険料に反映させた「PAYD(ペイド)型」の自動車保険は発売されていたが、運転挙動や運転特性を反映させる「PHYD(ファイド)型」の自動車保険は国内では発売されていなかった。唯一ソニー損保が、安全運転によって保険料をキャッシュバックする保険を発売しているが、運転特性の情報を取得する端末はインターネットでつながってはおらず、純粋なテレマティクス保険とは言い難かった。
同社は、2015年に英国テレマティクス保険の大手であるBIG社を買収し、ノウハウを蓄積しながら、国内でのテレマティクス保険参入の機会を伺ってきた。
同保険は、たとえばトヨタ車のGーBOOKなど、運転挙動データが取得可能な自動車を保有しているノンフリート(個人)顧客が対象で、毎月の走行距離や運転挙動などに応じて保険料の割り引きが適用される商品。保険料は月払いで、1カ月間の「安全運転の成果」が翌月の保険料に反映されて安くなる。ただ、乱暴な運転をしたからといって、保険料が高くなることはない。
現在のノンフリート等級制度の等級や、新規・継続契約による違いはなく、安全運転の成果によって「最大20%の割引」が適用になるという。つまり新契約時の6(7)等級でも、最大の割引率(60%)の20等級でも、同社が決めた基準に沿って、割り引きが受けられるという。
現在同社が発売している自動車保険とは異なる自動車保険として発売する計画で、保険料率は損保料率機構が定める参考準率を適用するものの、同保険独自の料率を定めるという。現在の自動車保険と比べてどのぐらいの割引になるのか、また保険料が安いダイレクト系損保の自動車保険との比較ではどうなるかは、現状では不明だ。
海外では欧米を中心にテレマティクス技術を活用した自動車保険が普及している。日本のように参考純率制度がなく、各保険会社が個別に保険料を設定できるため、料率設定の自由度が高い。その反面、特に事故率が高い若者の保険料が年間20〜30万円に及ぶこともあり、安全運転を保険料に反映される保険は広く受け入れられている。日本では、最大60%もの割引になるノンフリート等級制度のもとで、どれだけ多くの人が割引のメリットを感じるかは未知数なところもある。
ただ、安全運転の結果が保険料に反映される仕組みは、ドライバーの安全運転に対する意識を高め、それによる自動車事故の削減が期待できる。
損保ジャパンがスマホ活用のテレマィクス保険を2017年9月発売へ