岡部繁樹・日本代協会長に「わかりやすさ追求」への思いを聞く(追跡「UCDAアワード2014④」

一般社団法人 日本損害保険代理業協会 岡部繁樹会長に聞く

 「わかりやすさ」追求への思いで一致

損保業界の標準化・共通化に尽力

 日本には約20万店もの損害保険代理店が存在する。全国津々浦々に張り巡らされた販売網を背景に、損害保険契約の実に90%以上が代理店経由となっている。自動車保険や火災保険など損保商品を検討する際の、「最も消費者に近い存在」が保険代理店と言えるだろう。一般社団法人 日本損害保険代理業協会(以下、日本代協)は、全国の中心的な損保代理店1万店以上(*)が加盟する業界団体として、損害保険の普及や保険契約者の利益保護、損保事業の健全な発展を活動の目的に、さまざまな制度設計や改善にかかわってきた。

昨年開催された金融審議会のワーキンググループでも、損保協会(一般社団法人 日本損害保険協会)に設置された「よりわかりやすい募集文書・説明のあり方に関するタスクフォース」のメンバーとして参加、現行の重要事項説明書に関して数十項目にも及ぶ要望や改善に向けての提言を行い、積年の課題である募集文書の標準化・共通化への取り組みに大きく貢献している。そして、損保協会や日本代協を支える形で、帳票のデザイン改善や文字数削減などのノウハウを提供し、わかりやすい募集文書作成の一翼を担ったのがUCDAという訳だ。

「消費者にとっての〝わかりやすさ〟を追求したいという思いはUCDAさんと一致している」と語る日本代協の岡部繁樹会長に、同協会の活動内容や消費者対応への考え方、UCDAの活動に対する評価などを聞いた。

(*)2014年3月末で1万1498代理店が加盟

IMG_6124――損保業界で標準化・共通化が必要なことを以前から指摘されていましたね。

岡部 はい。1990年代後半の損保業界の自由化以降、商品・サービスにおける各社間の競争が激化しています。多様な保険商品が市場に出てきたことは、消費者にとって商品選びの選択肢が増えるという点から、非常に望ましいことでしたが、その一方で、商品内容や補償内容、約款の細かい点まで各社間で異なるため、かえって分かりにくくなったという声が出ていました。本来は多様な商品を比較検討することで、最適な保険選びが可能なはずが、用語や約款の解釈などがバラバラなために、消費者が比較しようにもできないのです。日本代協では、こうした用語や約款解釈の標準化・共通化に加えて、募集文書や事務処理関連、コンプライアンスに関するルール、代理店システムに至るまで、消費者目線での改善が必要なことを強く訴えてきました。

――そんな中、昨年の金融審議会「保険商品・サービス提供等の在り方に関するワーキンググループ」では、募集文書の標準化が検討され、保険募集の際に使用する「重要事項説明書」を見やすく、わかりやすく改善するためのガイドラインが公表されています。日本代協としてどのような役割を果たしましたか。

岡部 日本代協は、損保協会が設置した「よりわかりやすい募集文書・説明のあり方に関するタスクフォース」のメンバーの一員として参加し、一般に使用されている重要事項説明書に対して販売者側の目線から意見を述べさせていただきました。従来、こうした募集文書は、メーカーである保険会社が主導で作成されることがほとんどなのですが、販売側や消費者側の意見を反映できたことは、とても意義ある取り組みだったと思います。結果的に、ページ数や文字数が大幅に削減されたうえ、構成やデザインも工夫を凝らしたわかりやすい重要事項説明書になったと思っています。

「伝える」よりも「伝わったか」が大切

――「わかりやすさ」に基準を設けたUCDAの取り組みについてはどのように評価していますか。

岡部 今回の「契約概要・注意喚起情報(重要事項)に関するガイドライン」の作成に携わって改めて実感したことは、帳票を見て「読みにくい」、「わかりにくい」と感じても、それを「読みやすく」、「わかりやすく」するのは簡単ではなく、コミュニケーションデザインの深い専門知識や経験、感性が備わっていなくてはいけないということです。その点では、他の業界の情報提供ツールにも熟知しているUCDAさんの分析や評価は非常に参考になりました。 また、第三者機関であるからこそ、消費者の立場での評価やメッセージにはつねに一貫性があると感じました。消費者目線でのわかりやすさが不可欠という問題意識は共通しているので、今後もUCDAさんとの協力関係を大切にしていきたいと考えています。  

――UCDAアワードにも岡部会長自身が実行委員として参画していますが、今年のアワードに期待していることはどんなことですか。

岡部 情報を発信する人が「伝えた」「説明した」と言っても、それが本当に「伝わった」とは限りません。そういう観点からも、第三者的な立場からコミュニケーションの分野で、わかりやすいデザインの普及を推進する活動は非常に大切だと考えています。複雑な保険商品のパンフレットや申込書、タブレットの画面などがわかりやすく改善されて伝わりやすくなることは、消費者にとっても説明する側の代理店にとっても望ましいことです。高齢化社会の進展で今後ますますこうした取り組みは求められており、UCDAアワードの開催などUCDAさんの活動が、業界のスタンダード作りの後押しになってくれれば良いと強く感じています。

保険募集ルール改定への対応が課題

IMG_6111――最後に、日本代協として重点的に取り組んでいる活動内容や課題を教えて下さい。

岡部 現在の最も大きな課題は、保険募集ルールの改定としては1948年以来となる改正保険業法への対応です。すべての募集人に「意向把握義務」、「情報提供義務」が課せられるなど募集ルールが厳格化されるうえ、その遂行のために、代理店に対しても、募集人の教育・管理の徹底やコンプライアンス態勢の確立などの「体制整備義務」が課せられるようになったからです。消費者側からすると保険募集の際の透明性が増すなど、より望ましい方向に変わっていきますが、代理店にとっては労力やコスト面で負担が重くなり、これへの対応はなかなか一筋縄ではいきません。

日本代協としては、金融庁と代理店との間に立ちながら、全国の各代協を通じて、加盟代理店に対して適切な情報提供を行うなど、しっかりとサポートをしていきたいと考えています。 日本代協が恒常的に取り組んでいる活動はいくつかあり、一つ目の柱は、「消費者ニーズに応える代理店・募集人の育成・資質向上」で、特に「教育研修事業」には力を入れています。実は当協会では15年以上にわたって独自に「保険大学校・認定保険代理士制度」を進めてきましたが、今年7月から、損保協会の「損害保険大学課程・損害保険トータルプランナー」と統合することになりました。認定保険代理士は一定の要件を満たしていれば、損害保険トータルプランナーに移行でき、9月1日時点で認定された8189人のうち、約9割が認定保険代理士からの移行です。より実践的な知識や業務スキルを習得した損害保険トータルプランナーは損保の募集人にとって「最高の品質表示」であり、消費者が「保険を相談する際のメルクマール」となるように、制度の普及と定着化を図っていきます。

また、防災・減災活動を中心とした社会貢献活動にも重点的に取り組んでいます。地震保険の啓発・普及活動や、ハザードマップの配布、高校生対象の「出前授業」、損保協会と連携した「小学生のぼうさい探検隊マップコンクール」など、地域に根差した草の根的な活動にも力を注いでいます。

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