UCDAの三村一夫事務局長に「今年のアワードの注目ポイント」を聞く(追跡「UCDAアワード2014」①)

一般社団法人ユニバーサル コミュニケーション デザイン協会(UCDA)は、情報のわかりやすさに「基準」を設けて、その普及推進に取り組んでいる団体だ。2009年7月には生保会社が契約者に発送する「契約内容のお知らせ」などを対象に、「生命保険総合通知ユーザビリティ評価」を発表。帳票や印刷物をUCDA独自の「わかりやすさの基準」で評価・数値化し、その結果をランキング形式で発表した。その後、UCDAでは評価する対象物(帳票類)を変えるとともに、保険業界以外にも対象領域を広げて、2010年からは「UCDAアワード」として毎年実施している。今年の「UCDAアワード2014」では何を目指すのか。保険業界と顧客との接点はどのように変わっていくのか。シリーズで検証する。(高見和也)

 

UCDA三村一夫事務局長に聞く

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「企業は生活者に届ける情報が『正しい』ことを約束して下さい。UCDAは、その情報が『見やすく、わかりやすく』デザインされていることを保証します」-。今年で5回目を迎える「UCDAアワード2014」のテーマは、「情報品質の約束と保証」だ。現在、専門家や生活者(アナザーボイス)による「評価」が行われているが、今年も生保・損保をはじめ多くの企業がアワードの趣旨に賛同し、評価対象物は44にのぼっている。果たして今年のアワードはどこに注目すれば良いのか? UCDAの三村一夫事務局長に話を聞いた。

テーマは「情報品質の約束と保証」

評価対象物は44

専門家、生活者による「評価」進む

 

――UCDAアワードも5年目になります。この5年間で保険業界はどのように変わったと思いますか。

三村 お客様視点でのコミュニケーションデザインの改善が確実に進んでいると思います。特に、わかりにくさの大きな要因になっている情報量の削減や文字・行間・行長などの適正化は進んでいると思います。UCDAが開発したDC9ヒューリスティック評価法を基準にして、改善を進める企業が多くなってきました。昨年、金融審議会のワーキンググループとして日本損害保険協会が行った「わかりやすい募集文書への取り組みについて」は、その代表的な出来事だと思います。UCDAが数値化した問題点を日本損害保険協会、日本損害保険代理業協会、全国消費生活相談員協会、弁護士、学識者が議論をして、具体的な改善例を提示したということは画期的だったと思います。保険会社から、その件についての問合せがかなり寄せられました。今でも、改善の依頼や取り組み方についての相談が後を絶ちません。

――今年の「UCDAアワード2014」のテーマは「情報品質の約束と保証」です。ここにはどんな想いが込められているのか教えて下さい。

三村 これまでUCDAアワードでは、金融分野を中心に生活者の生命・財産にかかわる帳票類などの情報のわかりやすさを評価してきました。第三者機関であるUCDAは、アワードの開催を通じて「情報のわかりやすさ」を評価し、それをUCDAの基準によって〝保証〟することで送り手と生活者双方の利益に貢献してきました。もちろん今年もこの方針には変わりはありません。 ただ、UCDAが情報のわかりやすさを保証するだけでは不十分です。情報そのものが「間違いがなく」「嘘もない」ということでなければ、生活者の信頼を損ねることは必至です。そして、生活者に届ける情報が正しいことを「約束」するのは企業側の役割です。企業が届ける情報が正確であれば、それが「わかりやすく」デザインされていることをUCDAが保証します。正しい情報が、見やすく、わかりやすくデザインされていれば、企業と生活者とのコミュニケーションが円滑になり、相互に信頼関係が醸成されます。今年のテーマにはそんな想いを込めています。

――今年のアワードについて、各企業からの反応はいかがですか。

三村 5月末で評価対象物の提出を締め切っていますが、今年も多くの企業から44の評価対象物が寄せられました。今年は、生保・損保会社に加えて、信販・クレジットカード会社、通信販売会社、自治体の帳票や端末画面などを評価対象にしています。(入会申込書などを対象にした)信販・クレジットカード会社や、(「特定健康診査受診券・案内一式」を対象にした)自治体は今年から評価対象に加わっており、多くの企業や団体に「わかりやすさ」を追求する動きが広がっていることを感じます。 現在は、専門家や生活者の評価が始まっています。8月下旬には評価結果をもとに授賞対象候補を選出し、9月中旬~後半にはUCDAホームページ上で選考結果を発表する予定です。

――生保・損保各社のアワードに対する関心はどうでしょうか。

三村 今年のアワードでは生保13、損保6の対象物を評価しています。生命保険分野は、契約者が入院・手術・死亡時に必要な「保険金請求書」「給付金請求書」が対象で、損害保険分野は自動車保険の契約を更新する際に必要な「更改申込書」「タブレット端末画面」などです。契約手続のペーパーレス化が進んでいるため、タブレット端末の画面も対象にしたことが今年の特徴です。 例年以上に生保・損保各社の「わかりやすさ追求」に対する強い意欲を感じます。昨年の金融庁ワーキンググループに、UCDAとして協力させていただき高い評価を得たことが、アワードへの関心と期待につながっていると思います。また今年も、特別協賛、協賛、特別協力、協力として、たくさんの企業や団体に応援していただき大変感謝をしています。アワードを含めたUCDAの活動に社会的意義と責任を感じています。

――ずばり、「UCDAアワード2014」はどこに注目すれば良いでしょうか。

三村 アナザーボイスだと思います。アナザーボイスとは、建設的で批判意欲に溢れた意見を持つ一般生活者で構成された組織のことです。改善のためには、客観的な生活者の意見がとても大切です。アワードでは毎回、日本消費者協会と一緒に生活者評価をしていただいています。昨年のアワード実施後、生保・損保からの問い合わせで最も多かったのが、アナザーボイスの評価に関してでした。今年のアワードはお客様が直接記入する帳票が多いので、アナザーボイスがどのような評価を下すのかが大きな注目点だと思います。

――最近のUCDAの活動、トピックスについてお願いします。

三村 最近は、一つひとつの帳票を単に改善するだけでなく、企業が帳票作成において抱える課題や問題点を探し出して「見える化」するニーズが増えています。たとえば、ある生保会社に対しては、会社が発行する帳票やパンフレット10数種類を評価し、UCDAがガイドラインや設計基準書の作成のお手伝いをしています。また、UCDA認定2級の受講者は毎回増えていますが、保険・金融業界、自治体の方々の参加が目立ちます。認定制度に関するセミナーの開催依頼なども急増しており、当協会が提唱するUCD(ユニバーサル・コミュニケーション・デザイン)の概念が浸透してきている確実な手応えを感じています。国や公的な立場ではできないこと、いち企業ではできないことがあります。これからも、第三者の客観的な視点を大事にして「わかりやすさ」の基準を策定して認証していくこと、UCDを理解し推進する人を育てること、に取り組んでいきたいと思います。

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